徒然草

自分が実際に新型コロナウイルスに感染して思ったこと

私が新型コロナウイルスに感染してしまいました。最初から最後まで無症状でした。突然のことでクリニックを利用してくださる皆様には多大なるご迷惑をおかけしましたが、保健所から正式な連絡が入り、7/6から通常外来を再開いたします。ご協力ありがとうございました。

今回は自分が新型コロナウイルス感染者となり、これまでとは違った視点からコロナを眺めることができました。幸いにも私は最後まで全くの無症状でしたが、我が子3人は3日間高熱に苦しみました。今は皆さんすっかり元気で暇を持て余しております。我が子たちは「症状有り」なので私より3日間自粛期間が伸びています。

今回の経験を踏まえ、自分の思ったこと、感じたことを書かせていただきます。あくまで個人的な我が家のお話です。重症化して入院された方、後遺症の残った方などおられるかもしれません。今回は皆さんへの情報提供が主な目的で、完全なる我が家の経験談なのでご容赦ください。

<感染に気付いたきっかけ>

某平日の午後、妻からの電話がクリニックにかかってきました。まだ診察時間でした。

「息子が39度の高熱と頭痛を訴え早退する!」と。

最近塾の宿題などでちょっと寝不足気味だった息子。いつも布団を蹴っ飛ばして寝ているから風邪でももらったんだろうと、その時は余裕でした。すると数分後に第二報が。

「次女も高熱がある!」

流石に同じ日にそろって高熱が出るのはおかしいと思い、新型コロナウイルス感染を疑って、自分のクリニックから迅速検査キットを持って帰りました。予想していた通り、長女も39度の高熱でした。結果、3人ともコロナ陽性判明!

え、感染源はどこ?って思いつつ、まずは私自身を疑いました。しかし私は全くの無症状。でも全員が同日に感染するなんて私が持ち帰って子どもたちにうつしたとしか考えられません。

こんなご時世なので、マスクを外して遊びまわったことはありませんし、夜の繁華街で大騒ぎすることも控えております。しかし、日々発熱外来でコロナ感染者と接触している私。いつ罹患してもおかしくない状況で、しかもちょっと最近はコロナ慣れしていたこともあり、身も心も油断していたのかもしれません。

私の周囲にもコロナ感染者が数名出ました。皆それぞれに「私がうつした」と話されていますが、ここはあえて原因がわからない感染経路を探ることはしません。それはルール違反だからです。「〇〇さんがうつした!」って風評被害が勝手に広まるのが一番怖いですから。

今回の感染ケースについて少し検証してみました。

<私のケース>

・ワクチン3回接種済み(3回目は昨年12月)

・症状:なし

・考察:デルタ株からオミクロン株に変わり、感染力は高まったものの重症化率は下がり、ある割合で無症状の感染者がいることは知っていました。今回の私のケースもこれです。もともとコロナウイルスは小児の風邪ウイルスの一つであり、日頃から(新型ではない)コロナウイルスに接する機会が多かった自分には抗体があったのかもしれません。それがワクチンで増強されたおかげもあり、幸いにも無症状で経過しました。しかし私のような無症状キャリアであれば、身内にコロナ感染者が出ないと調べることはまずしません。もしかしたらある割合でこのような無症状キャリアが世の中でワクチンを撒き散らしているのかもしれませんが、これは証明不可能です。元気だったのが幸いで、自宅での自粛期間中、家事を手伝ったり、大量に残っていた事務仕事をこなしたり、夏に講演会を頼まれているため、そのスライド作成をしたり。それなりに忙しい1週間でした。

<長男・長女のケース>

・小児用ワクチンは1回接種済み(2回目は数日後接種予定だった)

・症状:高熱3日間

・考察:小児の感染は軽症が多いよ!ってクリニックでいつも話していたし、実際に罹患した人たちの経過を詳しく聞いていますが、大半の方は軽症で済んでいます。しかし我が子たちは違いました。流石に40度近い高熱となると二人ともぐったりしており、軽度の咳嗽持続、食思不振、嘔気など、色々な症状が出ました。とても「これは普通の風邪よ!大丈夫!」って、苦しんでいる我が子の前で言えるはずもなく。なんとなくですが、新型コロナウイルス感染はインフルエンザ罹患時の経過とよく似ています。しかしインフルエンザにはまだ薬があるから前向きになれたけど、新型コロナの小児用治療薬はなく、正直、いつ治るのか不安でいっぱいでした。初めての経験ですから。幸い3日目の後半から解熱傾向となり、それ以降は特に大きな症状悪化もなく、食欲も戻ってきました。あとは元気だけど自粛しないといけないという地獄の待機期間となってしまいました。

<次女のケース>

・2歳なのでワクチン適応がなく未接種

・症状:高熱3日間、超絶不機嫌5日間

・考察:兄姉同様に高熱のためぐったりしていた次女。感冒症状はさほど強くなかったけど、何よりも機嫌の悪さが半端なかったです。夜中も号泣しておりました。もともと夜泣きがある次女ですが、今回の泣きかたはかなり強烈で大変でした。しかし有熱期間がすぎてしまえばいつものようなやんちゃぶり復活。まだ上手に自分の体調を表現できないこともあり、この不機嫌は本当に体調が悪くてきつかったんだなって今更思いました。

<保健所の対応>

今回感動したことの一つ。それは保健所の細やかな対応と連絡です。連絡が遅い!とか、もう全例把握・対応しなくていいじゃんって心で思っていましたが、今回の皆さんの対応を見て、涙が出るくらい感動しました。感染が落ち着かないため大変なのはよくわかっていますが、スマホで体調を入力した際、「お子様たちの熱がまだ高いようですが大丈夫ですか?」と、直接連絡がかかってきました。感染者は私達だけではありません。このような配慮があってこそ、日本のコロナ感染死亡率が他の国々よりもはるかに低いんだなって実感しました。生意気言ってすみません。

<周りの方々の対応>

今回の陽性判明が分かったあと、速やかに保健所に発生届を出し、クリニックや病児保育閉鎖の対応を行い、関係者数名に急いで連絡を行いました。すると皆さんが我が家のことを心配してくださり、「何か必要なものがあったら届けますよ!」と連絡をもらったり、小児科同期の友人からは玄関先に色々な美味しい食事の差し入れを置いてくれたり、両家の親から生活必需品や食材など持ってきてもらったり。やっぱりこんな時に一番大事なのは「人の温かさ」だなって感動しました。これこそ「共助」の考え方です。明日は我が身ってずっと思っていたけど、実際にこんな素敵な対応をしてもらって我が家は幸せ者です。早く元気になって恩返しがしたいです。もし我が家と同じような境遇の方が現れたら、全く同じ対応をしようと思います。だって本当にありがたかったから。

<総括>

自粛疲れやコロナ慣れの影響もあり、なんだか1、2年前とは状況が変わりつつありますが、やっぱりまだ分かっていないことが多い怖いウイルスであることは間違いありません。ただの風邪って軽く考えていた私も、我が子たちが苦しんでいる姿を目の当たりにして、多いに反省すべきだと思いました。しかし、だからと言ってコロナウイルスに過剰に怯えるのも違うと思います。運悪く重症の経過をたどった人もいますが、やはり大半は軽症で推移しています。これは確率論からしても正しい意見です。罹患したからと恐れることはありません。医療関係者、保健所関係者など、助けてくれる人が思った以上にたくさんいます。力強い仲間たちです。それでもコロナに罹患しないに越したことはないので、これからもしばらくは感染対策を頑張っていかないといけないですね。

思ったことは以上です。これからも新型コロナウイルス感染の最前線で戦うことを誓います!

 

追伸:台風4号が山口直撃しそうです。

しかし温帯低気圧に変わったと聞いて、少しほっとしておりますが、南からの湿った空気が流れ込んでくるため、これからも大雨に注意が必要です。高知県とか大変な豪雨みたいです。

山口県は・・・。まだ洗濯物を外に干しても大丈夫な感じだったので風の強い中、外干しを選んだ私。雨降って濡れたら洗濯しなおしです。