我が第二の故郷、熊本はまだ余震が多く大変みたいです。我が同胞、熊大医師軍団たちが一生懸命頑張っています。
熊本で発生した今回の震災。熊本大学出身で、心から熊本を愛している私が今できることは何かないか一生懸命考えました。一医療人として熊本に行ったとして、小児科医である私ができることはまだ少ないかもしれません。そもそも熊本までの交通手段も限られています。行ったとしてもありがた迷惑でしょう。
かつて東北で大震災があった時のことを思い出しました。
東北で大震災と大津波が発生した年の4月、私は山大大学病院に転勤になりました。医師として何か自分にできることがないかという使命感から、東北在住の友人に連絡しました。
友人は秋田在住でしたが、法医学を専門とする医師であったため、震災後の現場に入って働いていました。現場を知っている友人だからこそ聞いてみたら、とても大切な言葉をもらって諭されたことを今でもよく覚えています。
「今東北の現場に来てもすることはない。現場では数多くの死傷者が出ている。自分は亡くなった方の検死や身元確認を行っている。あなたが来てもすることはない。こんな時こそ西日本に住んでいる君が沈んでどうするの?今は一生懸命西日本で頑張って、日本を元気にすることが使命です。山口で仕事して、いっぱいお金使って日本を元気にしてくれ。東北のものを買ってくれ。」
要約するとこんな感じでした。現場で働く友人の言葉だからこそ心を打たれ、諭されました。
今回の地震で山口でも大きく揺れましたが、被害はほとんどありませんでした。自分が熊本大学出身だからこそ思うことは多々ありますが、この友人の言葉を大切に思い、今は山口で一生懸命働くことが何より大切だと思っています。
先日サッカー日本代表の本田選手が「ただ何でもかんでも自粛しているのは批判をかわすだけの理由になっているだけだ。今自分たちができることは日本を元気にすることだ。自粛ムードはどうかと思う。」といった辛辣な言葉を述べていましたが、なんとなく共感できました。
元ライブドア社長の堀江貴文氏も同じようなことを言ってました。こんな大事件の後に騒げと言っているのではありません。今こそ日本国民が一致団結して元気になることが大切で、日本中が暗くなってしまうことを懸念したからこそ発した言葉だと思います。
熊本に6年間住んでいた私だからわかることもあります。熊本県民のパワーは絶大です。ものすごいスピードで復興が進むと信じています。
熊本の象徴である熊本城が、地震の影響で無残な姿になったのは報道で伝えられた通りです。しかしお城の屋根瓦が落ちた現象は意図的だったみたいです。
昔の家屋の瓦はあえて固定されていないそうです。わざと屋根を重くすることによって、台風などの強風被害から家を守る役割を担っているそうです。
そしてもう一つの屋根瓦の驚きの役割が「地震対応」です。急激な揺れによりあえて屋根瓦を落とし、屋根の重量を瞬時に軽くすることによって家屋の倒壊を防ぐ役割をもっているそうです。日本はもともと地震の多い国です。そんな日本で発達した日本家屋の瓦にはものすごい役割があったんですね。驚きました。でも今の時代は耐震技術が進んでいることもあって、屋根瓦はしっかり固定されているそうです。瓦が頭の上に落ちてきたら危ないですからね。
さらに衝撃的な事態が起こりました。阿蘇大橋が土砂災害により崩落したことです。
この橋は何度も何度も利用しました。もともと自分は南阿蘇が大好きで、この橋を使って南阿蘇方面にある高森や白川水源にはちょくちょく行っていました。橋のすぐ近くには東海大学農学部があり、ここの体育館でバスケの試合をしたこともあります。阿蘇の玄関口にある象徴的な橋が崩落したという事実を聞いて愕然としました。近くに滝も流れており、結構深い渓谷になっています。この橋が元の姿に戻るにはかなりの時間を要すると思います。
まだまだ余震が続いており、避難生活を余儀なくされている方が数多くおられると思います。ライフラインの回復も遅れているようです。我がクリニックにも熊本から避難されてきた方が受診されました。聞けば車中泊を2泊したそうです。本当に現地は大変そうです。
山口在住の私は、友人の言葉を胸に、地元で一生懸命働いて、働いて、日本の医療を微力ながら支えていくことが一番の支援だと確信しています。熊本に行きたい気持ちは強いですが、まずは足元をしっかり支えていこうと思います。
頑張れ熊本!熊本愛してます!
追伸:話は変わりますが、高校野球に長く関わっておられた達磨省一氏が先日死去されました。よほどマニアな方しか知らない人かもしれませんが、自分はNHKの甲子園解説でとてもわかりやすい説明をしてもらっていたのでよく覚えています。「本日の解説はだるまさんです!」というフレーズに笑ったことが何度もあります。ずっと甲子園を支えて来られた名伯楽です。謹んでご冥福をお祈りいたします。